”心の琴線にふれた広告 in ホテルマーケティング”①: 「HIRAMATSU WEDDING」


*****この記事は2011年6月に代表個人ブログで投稿されたものです******

 

メーカーのマーケターとして駆け出しのころ、同じカテゴリーに所属するマーケティング担当者が集まって、みんなで広告評価力を高める「コピーランチ」というものが、月に一回程度開かれていました。自分たちのビジネスに関係ない広告も、ある広告も含めて、幅広く見て、分析して、議論する中で、広告を評価する目を養ってゆくことができた非常に良い勉強会でした。

その中で、毎月一人が順番に行う発表がありました。「Advertising that made me buy」(私を買う気にさせた広告)と名づけられており、自分自身が思わず買いたくなってしまった広告を1つ取り上げ、消費者として、マーケターとしての双方から分析します。そして、「なぜ買う気にさせられたのか」「そのエッセンスを、自分がつくる広告にどう活かせるのか」を発表するものでした。

そこで、この度、「Advertising that made me buy」を、宿泊やウェディング、観光など、ホスピタリティの分野でやってみることにしました。名付けて、「心の琴線にふれた広告 in ホテルマーケティング」。できれば、月1回ぐらいの頻度で発表してゆきたいと思います。

記念すべき第1回で取り上げるのは、「レストランひらまつ」のウェディング広告。(レストランですが,「ホテルマーケティング」に関連するということでお許しを)

日経BPが出版する「DAZZLE」という購読者向けに配る冊子で見つけました。来週末に、友人が広尾の「レストランひらまつ」で結婚式を挙げることになっていることもあり、この広告が妙に琴線に触れてしまいました。主催者のみならず、参列者の気を引いた広告ということになります。

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キャッチコピー:
「この料理だったら、きっと喜んでもらえるはず」

ボディコピー
ミシュラン最長の星に輝き続け、世界のフランス料理界をけん引するポール・ボキューズ氏。85歳になる今も変わらない彼のスタッフへの口癖は「お客さまは喜んでいるかい?」というその一言訪れるすべての人に喜んでもらいたいというシェフたちの思いが伝わってくる

伝えようとしている便益は、おそらく「ひらまつでのウェディングなら、最高の料理による、おもてなしができる」でしょう。その便益を伝える広告に、お料理の写真が右下にほんの少ししか露出されていません。

広告全体を貫くアイディアは、「フランス料理界の巨匠シェフが、あなたの大切なお客様のためにチーム総出で準備する最高の料理でおもてなし」といったところでしょうか。

シェフが登場する広告はみたことがありますが、シェフが総出で相談している広告は、初めてです。「レストランひらまつ」というフレンチにおけるブランド力があってこそ生きる広告ですが、そのブランド力を効果的に使い、さらに高めているものだと思います。

友人の結婚式に参加するのがとても楽しみです。

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追加補足分析
この広告がなぜすぐれていると思うのか、マーケター視点での分析を入れておきます。

① 便益を膨らませるアイディアになっている:
「フランス料理界の巨匠シェフが、チーム総出で準備する」という広告アイディアは、「最高の料理でのおもてなし」という便益を膨らませています。どんなにアイディアが面白くても、そのアイディアが戦略的便益からはずれてしまうと、広告の訴求力は落ちてしまいます。実際、おもしろいけど、買う気にさせない広告は多く見受けれますが、それはアイディアが便益からはずれているからです。

② 独自性がある/競合と差別化されている:
「最高の料理でのもてなし」という便益は、独自性があるとは言いきれません。しかし、「フランス料理界の巨匠シェフが、チーム総出で準備する」というアイディアには独自性があります。また、「料理の写真が全面にでてこない」という見せ方も独自性があります。結果として、この違和感、新鮮さが、消費者の目をとめ、印象を深くします。

③「へー、そうなんだー」という発見がある
ただ独自性が高いだけでは十分ではありません。その便益やブランドに対する価値をたかめるような新しい理解/発見が提供されなくてはなりません。「フレンチの巨匠がこんなに一生懸命考えてる」というのは、間違いなく「へー、そうなんだ」という発見になっていると思います。

今回の「HIRAMATSU WEDDING」の広告は、上記3つの重要評価指標を満たす、優れた広告であると分析します。

運営: リ・ブランディングジャパン株式会社

「観光地マーケティング」と「ホテル・旅館マーケティング」に関する気づき,学び,参考&成功事例を紹介するブログです。

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